研修活動
【研修内容】
Aコース | F.ナイチンゲールが発見した看護の原理を継承し体系化した看護理論に導かれて看護実践力の向上をめざす |
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Bコース | 看護理論・看護基礎理論を学び、研究能力を高める |
Cコース | 看護学教育および現任教育の要となる指導過程を分析し、指導力をつける |
Dコース | 看護実践の質を評価して管理上の問題構造を解き、管理実践の方向性を定める |
【研修コースの到達目標】
Aコース よりよい看護実践をめざすコース(対象への個別な看護を展開する能力)
1 人間は、生きていく力が備わって小社会の中に生まれ、育まれながら生命力を高め、社会の中で役割を果たしつつ生活する存在である。
2 人間の生命力は、細胞のつくりかえを支える生活過程を、本人が健康の法則に則して営むとき、もっともよい状態となる。
3 看護は、人間としてのナースが、自力ではうまく生きていけない他者の健康状態に心を動かされてその全体像を観察し、どこが、どのように消耗しているかを見出し、その人の生命・生活・自律のよりよい状態をめざして支援する関わりである。
4 ナースは、対象が自力でよい状態をつくりだしていくために何が必要か、どのような支援が必要かを判断して実践し、関わりの事実をもとに対象の位置から評価する。
5 ナースの判断根拠は、ナイチンゲールの看護の定義を再措定して看護一般と位置づけた<看護とは、人々の生命力の消耗を最小にするよう生活過程を整えること>である。
6 ナイチンゲールの自然観・生命観・人間観・病気観・健康観・環境観・看護観が、現象の観察を通して科学的に抽出されたものであることが、次第に明らかとなっている。
*社会科学の分野では、早くから注目・評価されてきたが、自然科学領域においても根拠となる事実の発見が続いている。たとえば、
ⅰ) DNAの二重らせん構造の発見(1958)および解読後の諸科学の発展は、看護理論の科学的根拠を提示している。
ⅱ)ミラーニューロンの発見(1996)およびその後の研究は、看護の働きがよりよい社会の実現に重要かつ不可欠であることを示している。
7 看科研は、ナースとしての不撓の原理を学び、学習しつつ実践し、実践を振り返りつつよりよい看護を追究する仲間たちの学習・研究拠点である。
Bコース 看護理論の理解および理論化するための基礎的能力を高める
1 ナイチンゲールの看護の定義は、どのようにして示されたかについて、大づかみに説明できる。
2 ナイチンゲールの自然観・生命観・人間観・病気観・健康観・環境観・看護観について、ナイチンゲールの表現をもとに説明できる。
3 健康の法則=看護の法則とはどういうことか、事実で説明できる。
4 医師と看護師との関係について、ナイチンゲールの表現をもとに、その考え方を説明できる。
5 ナイチンゲールの思考の特徴、および理論化のプロセスに必要な基礎的能力を理解し、自己の実践例をもとに学習する。
6 <認識論の基礎><弁証法の基礎>を自己学習する。
Cコース 教育の原基形態は、看護の原基形態と同じ
1 《看護理論に導かれて実践する看護者の育成》への意欲と責任感について説明できる。
2 教師の資質について自己評価するための演習課題を実施する。
3 演習課題例:(基本的資質)
*-1 金子みすゞ「わたしと ことりと すずと」を音読する。(自分の声で相手の心に届けることができるか)
わたしが りょうてを ひろげても、おそらは ちっとも とべないが、 とべる ことりは わたしのように、じべたをはやくは はしれない。
わたしが からだを ゆすっても、 きれいな おとは でないけど、あの なる すずは わたしのように たくさんな うたは しらないよ。
すずと、ことりと、それから わたし、 みんな ちがって、みんな いい。
*-2 相手のアタマにどのような像が描かれたか、想像してみよう。
*-3 相手に音読をすすめてみる。
相手の声、表情、目の動き、動作などから、意味内容をつかんでいるか、想像しながら確認し、像の共有をはかる。
4 臨地実習の指導事例をもとに、教員の患者理解および・学生理解について自己評価を促す。
5 学生が、自己の対象認識と表現および対象の反応を、看護一般に照らして評価できるよう促す。
Dコース 看護管理とは、組織の理念・目標が全員に共有されるよう浸透させること
1 看護管理者は、組織の理念・目標を明示し、各人がその表象像を描けるよう促す。
2 看護管理者は組織の各部門の専門性を理解し、各部門の専門的理念・目標の明示を支援する。
3 看護管理者は、各部門が専門性を発揮しているか、人々の健康に害を与えていないかを常に観察し調整する。
4 看護管理者は、よい看護を実践できる諸条件を整え、常に希望をもって前進する機運を醸成する。